平成15年7月9日
内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
科学技術連合フォーラム
代表世話人 内田盛也
世話人 石井吉徳
国連が海洋法条約を採択したのは1982年。
これによって海岸線から200カイリ(約370km)の排他的経済水域(EZZ)の外でも、地形的、地質的に地続きで有る事が証明できれば、海岸線から350カイリ(約650km)まで延長される事となった。これは国際的に認知される「新領土」の主張であり、国の総力をあげて優先的に取り組むべき課題と考え、政府の強固な決意による取組みを待望しておりました。
平成15年7月4日 日本経済新聞社(夕刊)の報道に依れば、政府・与党は、この大陸棚調査を抜本的に強化する方針を固められたとの事、迅速な省庁横断的対応への決断に敬意を表するものであります。
海洋法条約対応についての課題は次ぎの通りであります。
1.国連海洋条約の時間的制約
2009年5月が国連への提出期限である。
2.新しい領土の拡大の可能性
南鳥島、沖の鳥島周辺に65万km2(日本列島の約1.7倍)に達する規模のものがある。新大陸棚には、有望な諸資源存在が期待される。
3.領土の消失の可能性
中国が国際海洋法条約へ申請する可能性が有る(中国は物理探査船を12隻保有し、沖縄周辺海域において500m間隔で調査を実施している)。
対案として日本側調査による沖縄舟状海盆の把握が必要である。
4.高精度の調査が必要
大陸棚の限界の確定には、地形的特徴のみではなく、地殻構造についても一定の条件を満たす必要がある。
ロシアが提出した資料が認められなかったと言う報告も有る。
地殻構造を確認するためには、ボーリングも必要である。
5.調査船の確保の必要性
・ 海上保安庁現有の調査船では地殻調査までは不可能である。
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海洋科学技術センター、金属鉱業事業団の調査船は調査予定があり、使用不可能と言われている。
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世界の石油探査のための調査船の傭船も考えられる。費用の推定2次元船で20〜30億/年、3次元船で50億円/年程度かかる。
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物理探査船の早急な建造が必要であるが、建造期間がかなりかかる。
以上の状況に対して国家主権を守る行為であるが故に、国益達成のため次ぎの施策を取られる事を望んでおります。
実施に当たっては、国益に関るため大新聞こぞって報道し、国民の関心高く、具体的実施についての合理的方策は、科学技術専門家においてかなり明確に捉えられている。しかしながら、それらの人々の英知と能力が動員される様子が見られない。そのため予算措置にあたって、真に実行能力を持つ集団が動員且つ組織化されるかどうかが注目されている。
以上