2008 IEA World Energy Outlook
世界の超巨大油田の石油ピーク、その後の減耗は著しい

 日本語訳


2008年11月12日、国際エネルギー機関:IEAは「エネルギー見通2008年」にて、石油減耗をはじめて公に認めた。翌11月13日には、ブッシュ大統領エネルギー顧問M.Simmonsは[THE ERA OF CHEAP OIL IS OVER]というタイトルで講演、「IEA WORLD ENERGY OUTLOOK 2008」の主な図表など紹介し、石油減耗が世界の緊急課題と訴えた。その少し前、10月28日のフィナンシャルタイムス記事もポイントは明確、2008 年IEAレポートの9.1%の石油生産減耗を警告、世界の関心を集めていた。 暢気なのは、いつものことながら日本のメディア、専門家、迫り来るエネルギーや食料の供給不安より、いまも自然現象が主因と考える科学者が多い地球温暖化ばかりを強調する。本当にそれで良いのだろうか。

国際機関IEAはようやく従来の、長年の楽観論を見直しはじめて、今度は一転して石油ピークとその後の「予想以上の石油減耗」を警告した。だが、大方は未だにその重大性を見過ごすのか、温暖化、石油価格のみにいまも目が行くようである。これも「地球は有限、エネルギー資源は質が全て」が理解できないからであろう。経済危機も一過性と信じ、経済成長路線をどう回復させるか、目先の政策、金融支援に議論が集中する。そしていつものように温暖化の脅威論が前面に出る。が、これは科学合理性を欠く。何故なら脱浪費でなく脱炭素となるからである。この両者は一見同じようだが、技術の展開が違ってくる。

だが、現在は1929年の経済恐慌当時と全く違う、エネルギー・資源の制約がその根源にある。文明が変わりつつある。これを理解しない経済政策は中長期的な成果など望めない、問題の本質を見逃しているから。よく考えて読めば、IEA2008年レポートは、我々の文明が大きな転換期にあるといっている。この意味、重大さを理解した企業、国家、人のみが今後生き残ることとなる。

 

 

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